博物館のガラスケースに並ぶのは、物言わぬモノたち。そこから昔の生活や時代背景を読みとるのは、専門知識のない素人にとってちょっと難しかったりして。結局、博物館=退屈という印象になりがち。

 

 

ところがビクトリアのロイヤルBC博物館は、「素人の想像力」が大いに刺激される場所。ジオラマや模型で、ブリティッシュコロンビア(BC)州の歴史を疑似体験できるから。見せ方にとことんこだわる学芸員の意気込みが随所に感じられます。

 

1階玄関ホールで入場券を買ったら、重い荷物やジャケットはクロークに預けて身軽に見学しましょう。

エスカレーターで2階に上がると、期間によってテーマが変わる特別展とBC州の自然史を紹介する常設展があります。マンモスの立つ平原を前にすると、気温がすっと下がったように感じるから不思議。そばの氷柱を触ってみれば、驚いたことに本物の氷でした。

 

 

エルクやヘラジカがぐるりと取り囲む部屋の天井は、ささやき声でも全体に響き渡るおもしろい構造。写真撮影OKなので、うまく背景に入れたら森に行ったみたいな記念撮影ができちゃいます。ただし、三脚とフラッシュは使えないので気をつけて。

 

 

3階では先住民族の歴史や文化を紹介。実際に使われていた集会所ジョナサン・ハント・ハウスは圧巻。トーテムポールや様々な儀式用具がずらりと並び、薄暗い中にひとり座って彼らの声を聞いていると幻想的な気分に。

 

私は視察だったので、博物館の許可を受けて撮影しましたが、先住民族セクションは、肖像権があるので写真やビデオの撮影ができませんのでご注意を。

 

 

先住民族芸術の次は、100年前のビクトリアの街並みへ。商店やホテル、車の修理工場が並び、駅にいると汽車が入ってきます。映画館ではチャップリンの無声映画が常時上映されているので、足休めのついでに観ていきましょう。

 

 

私が特に好きなのは、階段を上がったところにある昔のキッチン。オーブンのパイからシナモンの香りがして、そよ風にカーテンがはためき、窓の外から馬車の通る音が聞こえてきます。

 

 

細い路地で見落としそうになるけど、中華街の一角はなんだか懐かしい雰囲気。1880年代にカナダ大陸横断鉄道を敷設する際、カナダ太平洋鉄道は、中国から多くの人々を鉄道工夫として雇い入れました。鉄道の完成後も定住する人々が多かったので、ビクトリアには北米最古に数えられるチャイナタウンがあるのです。

 

 

雪をいただく山脈や冬の農場、缶詰工場、金鉱山、製材所などの展示でも、音・におい・温度・照明が工夫され、五感が刺激され想像力がかき立てられます。

 

 

帰りには、ミュージアムショップでショッピング♪ 先住民族アートやアクセサリーが充実しています。館内にあるセコイア・コースタル・コーヒーで一息ついてから次の行動に移るのもおすすめです。

 

ビクトリア観光のついでにのぞいてみたい方、歴史や人類学に深い興味のある方、どなたにでもご満足いただける博物館です。ちょっとしたタイムスリップ気分でお楽しみください。