1980年代にパリで暮らしていた頃、こぢんまりとした近所のビストロが好きで、ランチにディナーにとよく通っていました。隣のテーブルの距離が近くて、サーバーと客も和気あいあい、料理はシンプルだけど小粋な味わい。
 

ふらっと立ち寄って、友人とおしゃべりしながらブランチを楽しむのもいいし、窓の外を眺めながら一人でランチするのもいい。そんなフレンチ・ビストロがバンクーバーの住宅地キツラノ Kitsilano にオープンしたのは2014年。
 

オー・コンプトワール Au Comptoir とは「カウンターで」という意味。ゆっくりしたければテーブル席、ちょっと急いでいるならカウンター席で気軽にどうぞと名付けたとか。
 

オーナーのマキシム Maxime Bettili とジュリアン Julien Aubin はヨーロッパ旅行で出会って意気投合。内装はほとんどふたりの手作りで、テーブルの足は昔懐かしいシンガーミシンの台だったりします。
 

野菜もタンパク質もしっかり摂りたい時には、鴨のコンフィサラダ Confit de Canard en Salade がおすすめ。マスタードヴィネグレットであえた鴨肉と温野菜の上に、ポーチドエッグまで乗ってボリュームたっぷり。
 

ブランチのハーブオムレツ Omelette aux Fines Herbes は卵の美味しさとクリーミーな食感が魅力。グリュイエールチーズも入っていて、シンプルなのに満足度高し。
 

クロックマダム Croque-Madame は、ハムとグリュイエールチーズをカントリーブレッドに重ねて、目玉焼きをのせたフレンチカフェの定番メニュー。これは卵そのものが美味しくないと成立しない料理。
 

私がブランチで毎回注文するのは鴨手羽の唐揚げ Manchons de Canard。トリュフオイルが香ばしくて、鶏手羽より大きいのに、いつの間にやら6本全部なくなってしまいます。
 

ブランチで外せないのは、キノコのブリオッシュトースト Champignons sur Brioche。マッシュルームとホウレンソウをソテーして、焼きたてのトーストにのせ、バターと卵黄とワインビネガーを煮詰めたベアルネーズソースをかけた一品。
 

今日のスープ Soupe du Jour がジャガイモとポロネギ leek のポタージュだったらラッキー。やさしくてほっとする家庭的な味わいです。
 

バンズもひき肉も手作りの自家製バーガー Burger Maison には、ラクレットチーズとじっくり炒めて甘みを引き出したタマネギが乗っています。これは他ではなかなか食べられないグルメバーガー。
 

ディナーなら鴨の胸肉のロースト Magret de Canard がおすすめ。セルリアックのセロリのような風味にリンゴの爽やかな甘味がぴったり。ボリュームたっぷりなので2、3人でシェアするといいですね。
 

締めは深煎りフレンチローストのコーヒーで。今度はフランクステーキ Bavette d’Aloyau にしようとか、とろけるようにやわらかな牛頬肉の煮込み Daube de Bœuf もいいねとか、にこやかに立ち働くサーバーを眺めながら、美味しい話はいつまでも尽きません。
 

ローカルの人気店なので、お越しになる前には必ずご予約ください。