もぎたての朝どりトマトに、緑の葉っぱが美味しそうな春キャベツ、すぐにでもおひたしにしたい立派な水菜。今晩のおかずは何にしよう。
あっ、残念、人気のアスパラガスはもう売り切れ、やっぱり朝一番に来なくちゃダメね。このグリーンピースはとっても甘そう。ニンジンはこっちのブロッコリと軽く蒸して、ニンジンの葉っぱのほうは豆腐ハンバーグに混ぜようか、いや、かき揚げが美味しいかな。
あ、そうだ、先週買ったケーキのお店、また出てるかな。あっさり甘くて上品な味で、いくらでも食べられそうだった。友達のうちに持って行くお菓子を買いたいんだけど。あそこでバイオリンを演奏してるあのお兄さん、とっても上手。あっちには子供たちにフェイスペインティングをしてるお姉さんがいる。おもしろそう。
雲ひとつなく真っ青に澄み渡った空の下、ずっしり重くなった買い物袋を下げながら、それでもまだ買い足りない気分で、あっちへうろうろ、こっちへうろうろ。
とろりと甘いハチミツや美味しいチーズを味見したり、見たこともない種類のキノコを前にして、お店の人に食べ方を聞いてみたり。手作りのガラスビーズや陶器の小皿、珍しい野菜や花の苗、いい香りの手作り石けん。ひとまわりしてちょっと疲れたら芝生に座って、レモネードと焼きたてマフィンでひと休み。
春から秋にかけての週末には、コミュニティーセンターの駐車場などを利用して、バンクーバー市内各所で青空市場ファーマーズマーケットが開かれています。
郊外のオーガニック農場で早朝に収穫された野菜や果物が産地直送で手に入るので、どこでも大人気。1995年に始まって以来、バンクーバー市内だけでも7ヵ所に増えました。イエールタウンやメインストリートの青空市場は平日の午後に開かれるので、週末に時間のない人も利用することができます。
うきうきしたお祭り気分もさることながら、実際に作っている人と話をしながら買えるのも大きな魅力。生産者にしても、自分の野菜を食べてくれる人から「あなたの野菜、美味しいわ!」と直接言われたら、何よりの励みになるでしょう。
地元の生産者から農業にかける意気込みや苦労話を聞くと、なんとなく彼らの野菜が愛おしくなって、無駄なく美味しく食べてあげようという気持ちになります。
子供たちも「これ、あのおじさんが作った野菜だよね」とちょっと苦手なものでも食べてくれるから、連れて行く値打ちがあるというもの。
わざわざ週末に青空市場まで足を伸ばさなくても、近所のスーパーに行けば、きれいに洗ってパック詰めされた野菜がいつでも簡単に手に入ります。手を汚すことも汗だくになることもなく、クーラーのきいた清潔な店内をまわれば十分事足ります。
卸売りの規格にしたがってそろえられた野菜は、まるで工場から出てきたみたいに、みんな同じ形で粒ぞろい。トマトやレタスも季節に関係なく一年中並んでいて、大量生産品は青空市場の地元の品より安いことがほとんど。
でも、遠く離れた産地から運ぶうちに、野菜や果物の栄養は損なわれてしまいます。また、枯渇しようとしている貴重な石油も無駄遣い。それに「もっと安く大きくて見栄えのいい作物を」と消費者が求めると、農業の機械化・合理化を招き、利潤追求のために除草剤や農薬、化学肥料が多く使われることに。
結局それは私たち消費者だけでなく、農場で働く人々、土壌にすむ虫や微生物、鳥や動物たちの健康を脅かすことになります。地下水にしみこんだ大量の化学物質は海に至り、魚介類を汚染し、それを食べる私たちの体にかえってきます。そしてやがては、この地球全体の健康をゆっくりと確実にむしばんでいくことになるのです。
地球の裏側から運ばれてきた作り手知らずの野菜や果物を食べるより、できることなら自分たちの食べものがどこでどんなふうに作られているか想像がつく範囲で暮らしたい。
この地球は人間だけのものではなく、たくさんの動植物や無数の虫・微生物と共生する場所だと実感したい。
私たちが日々口にする食べものを大変な思いをしながら作ってくださる農家の人々や、太陽・雨・土の恵みに感謝し、大いなる力に生かされていることを自覚して生きていきたい。
限りない命の循環に私たちも組み込まれていると多くの人々が気づき始めているようで、青空市場でもオーガニックの野菜や果物を求める人が年々増えています。
ファーマーズマーケットに並んでいる野菜や果物は今が旬のものばかり ♪ 買い物リストは持たないで、自分で見て、さわって、これ食べたい!と思ったものを買うのが一番。エコバッグを持参してお祭り気分で行きましょう。
2017年 ファーマーズマーケット開催情報
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