なんだか肩が張ってきた、夏の疲れが出てきたかなぁ、と思っていたら、数日もしないうちに首の後がガチガチにこってきて頭痛までし始めました。歩いていても寝ていても、肩がぎゅっと上がっているような感じ。鈍重な不快感が背中から頭にかけてかぶさってくるようで、もうこうなると湿布をしようが体操をしようがどうにもなりません。忙しさにかまけて自己管理ができていない証拠・・・。



慌てて石邑先生に予約を入れます。診察中は電話にすぐ出られないので、初めは必ずメッセージになりますが、名前と用件を言う頃になるとたいてい応答があります。「はい、よろしいですよ、金曜日の正午にどうぞ」といつもの穏やかなお声。もうこれだけでちょっぴり癒されたような気がするから不思議。

約束の時間に伺うと、いつものようにモグサと線香の香ばしいにおいが漂っています。清潔感あふれる診療室で、先生がにこやかに迎えてくださいました。「今日は、どうされました?」「また肩と首が固まりました」「あー、はい、どうぞ横になってください」 眼鏡とピアスを小物台に置いて、靴と靴下も脱いでTシャツとゆるいズボンだけになり治療台へ。ほどよく温められた大きなタオルケットを体に掛けてもらうと心地よくて、なんだかほっとひと安心。

チーンと鐘を鳴らして合掌してから治療開始。まずは問題の首の後から指圧で丁寧に一筋ずつ、こりをほぐしていきます。ツボにぐっと指先が入るとかなりの刺激を感じますがが、やめてほしいような痛みではなく、イタキモチイイとでもいいますか。肩から腕や指先、そして足へ。途中から、おなかや腕、肩、首、頭に鍼(はり)も加えます。うつぶせになって、また首から肩、背中、腰へ。指圧と鍼をほぼ同時進行して、一連の流れに沿って静かに確実に治療が進みます。

先生が使うのは、一本ずつ包装された使い捨てのディスポーザブル鍼。他の患者さんと鍼を共有することは絶対にないので、感染症の心配は皆無。太めの鍼を一気に刺す中国鍼と異なり、髪の毛よりも細いステンレス鍼を小さな円筒形の鍼筒に差し込んで軽くたたきながら皮膚に入れるので、ほとんど無痛。大きな蚊に刺された方が痛いかも。



慢性痛に悩む人に鍼灸を勧めると怖いと言われることが多いんですが、鍼を刺す痛みより、体の痛みの方がどれだけ大きいことか。治療にともなう肯定的な痛みには誰でも十分耐えられるので、まずは試してください。一度体験したら「なんだ、この程度なの」と拍子抜けする人ばかりです。



私が鍼灸治療を知ったのはカナダに移住してからでした。当時、左足の裏に直径2センチの大きなタコがあり、お灸なら取れるといわれて思い切って試してみることに。長年患っていたため芯が深く、モグサをこんもりのせても熱さを感じませんでした。かなりしつこく何回も焼き続け、ようやく熱いかなと思える頃には、タコの中心が黒焦げになっていました。

たくさんのモグサをお土産いにいただき、家でも毎日続けてお灸をしていると次第にタコが小さくなり、モグサを小さくしても熱く感じ始め、およそ2週間ほどでタコは根元からすっかり取れてしまいました。そのあとはもうツルツルのまま、今ではタコのあとすら残っていません。

それ以来、腰痛や偏頭痛、高血圧、肩こり、胃弱、関節痛、腱鞘炎、ひどい寝違え、五十肩に至るまで、とにかくよくお世話になっています。特にこれといった症状がなくても、私は年に3~4回たまった疲れを取り除くために診ていただいています。病気になって危険信号がともる前に、未病の段階でくい止めておくのが体のためなので。



若い時にテニスを熱心にしていてテニス肘になり、冬になると痛みがよみがえってタイプすら打てなくなる同僚。パイロットという職務の緊張とストレスからか、年に何回かは首が回らなくなる友人。生後6ヵ月の赤ちゃんを抱えて、ぎっくり腰になってしまった女友達。みんな石邑先生に治していただきました。長年患っているようならしばらく通う必要もあるかもしれませんが、たいていの場合は1、2度の通院で症状が改善するので経済的な負担も軽く済みます。

冷えをともなう症状や病気にはお灸の方が効果的とか。お灸は熱くてイヤなものというイメージがありますが、実際によく使われるのは米粒大の小さなお灸。熱さも一瞬だし、あともほとんど残りません。治療に何が最適かは先生の判断におまかせした方がいいいでしょうが、少しでもお灸のあとがつくと困るという方は、事前にお話ししてみてください。



すぅっと引き込まれるように気を失って、そのままいびきまでかいてたかも。それが一瞬だったのか、まる一時間だったのか判然としないまま、いつも「はい、終わりました」の声で目が覚めます。体がホカホカして、血行がよくなったのが自分でもよく分かります。

治療の直後から1~2日は体がだるかったり疲れたような感じがしますが、これは体内の自然治癒力が動き始めたことによる好転反応で、睡眠を十分にとっていれば自然に症状が軽くなってきます。初めての人には鍼が効きすぎて強い好転反応が出ることもあるので、あまり不快なら先生に連絡してください。私なんていい気なもので、治療を受けた翌日はつい元気が出すぎてフル回転してしまいます。

漢方薬や鍼灸を含めた東洋医学の理論は、いまだに解明されていないことが多いようです。でも西洋医学や現代科学の見地から分からないというだけで、気の乱れや血流の滞りを改善し、経絡の流れを正常に戻す鍼の効用を無視できるわけではありません。実際に鍼灸で体調を回復する人は多く、スポーツ界でも鍼灸治療は常識です。古来から伝えられてきた東洋の医術を、もっと認めて広く活用していきましょう。

石邑鍼灸指圧治療院 Ishimura Acupuncture Clinic

107-3195 Granville Street, Vancouver, BC
地図:Googleマップ
電話:604-736-8200
営業:月~土 10:00~17:00
定休:日曜
費用:1回1時間 $60
予約:要

世界保健機関(WHO)が鍼灸療法の有効性を認めた病気

脳卒中後遺症
偏頭痛、頭痛
顔面神経麻痺、神経痛
末梢神経疾患
胃炎、腸炎、胃下垂、胃酸過多
食道噴門痙攣、横隔膜痙攣
十二指腸潰瘍、便秘、下痢
麻痺性イレウス、腰痛
頚腕症候群、肩関節周囲炎
五十肩、テニス肘、関節炎
慢性関節リュウマチ
頚椎捻挫後遺症(むち打ち)
感冒、気管支炎、気管支喘息
夜尿症、小児喘息
急性結膜炎、中心性網膜炎
近視、白内障、メニェール氏病
鼻炎、副鼻腔炎、扁頭炎
効果があるとされる他の症例
疲れ目、ぎっくり腰
足のむくみ、足のしびれ
打撲、捻挫、生理痛、冷え性
つわり、貧血、月経困難
更年期障害、寝違え
食欲不振、高血圧、低血圧
アレルギー性疾患
イライラ、不眠、動悸
ノイローゼ、神経症

鍼灸ボキャブラリー

鍼灸師 acupuncturist
モグサ moxa
灸療法 moxibustion
指圧療法 acupuressure
鍼灸のツボ acupuncture point