空気の存在があたりまえのように、の存在もふだん意識することはあまりありません。水道の栓をひねればいつでも流れ出てくるきれいな水。でも世界では、水不足と水質汚染が年々深刻になっています。


Mt. Maxwell Provincial Park @ Salt Spring Island

地表の7割を占める水。この太陽系で、なぜ地球にだけ水があるのでしょう。地球の創世記に地殻変動があり、火山の爆発で発生した大量の水蒸気が冷えて海になったという説や、巨大な氷塊のような隕石が地球に衝突したという説もありますが、詳しいことはまだわかっていません。ただひとつ確かなことは、水はもうどこからも来ないということ。

海や河川、地面、植物から蒸発した水蒸気は、雲となり、雨や雪となって地表に降りそそぎます。その水が集まって地下水や河川を経て、やがてはまた海に戻ります。「蒸発」→「雨・雪」→「地下水・河川・海」→「蒸発」と地表と大気の間を巡り、水は太古の昔から減ることも増えることもなく、延々と地表で循環しています。


Yukon River in Carmacks

そのバランスを崩しているのが、私たち人間。地球上の水の97%は海水で、飲用に適する淡水はたった3%しかないのに、その循環をさえぎり汚水を垂れ流しています。汚水は処理場や地下水、河川を経て海に戻り、汚染物質を含んだ雨となって、また私たちの頭上に返ってくるのです。

地球に出現して以来、人類は水を汚染してきましたが、昔は土壌や海水の浄化作用で十分まかなえる程度のものでした。でも19世紀の産業革命以降、人口が爆発的に増え始め、水の汚染も加速。自然の浄化作用では追いつかなくなり、ついには水が汚れたまま循環し始めました。


English Bay in Vancouver

地球上のあらゆる海域で漁獲高が減っているのも、飲料水が塩素消毒なしでは飲めなくなっているのも、すべて私たちが汚してきた水のツケを払っている状態。

どうすれば水を汚さないですむのか。答えは簡単には出ないでしょう。私たちは生きている限り、水を汚し続ける宿命にあります。でもちょっとした心がけ程度、暮らしのあり方をほんの少し変えるだけで、水の汚染を減らすことができるのです。


Churchill Road Beach in Salt Spring Island

1930年代までは、食器を洗った水に含まれる化学薬品は生物分解が確実に可能な石けんだけで、水辺の生物にはほとんど害がありませんでした。

ところが、この70年間でリン酸塩 phosphate や合成界面活性剤を含む台所用・洗濯用洗剤、シャンプー、ハンドソープの使用が増え、水の自然浄化バランスが狂ってしまいました。

洗剤に含まれるリン酸塩は肥料のような作用があります。リン酸塩の濃い水中で藻類のプランクトンが爆発的に繁殖すると、水中の酸素が吸収されてしまい、魚や他の水生動物が窒息し始めます。

藻類が増加し続けると、やがては腐って沈み、水はドロドロになって、生物は姿を消します。これが洗剤で引き起こされる水の富栄養化で、湖や湾内で発生する赤潮もその一種です。

湖の富栄養化が深刻なスイスでは、リン酸塩の入った化学洗剤は全面的に使用禁止になりました。台所や洗面所に、無リン洗剤や石けんを選んで、体も心もスッキリしましょう。


Creston Valley Wildlife Management Area in Kootenay

農薬の人体への影響は声高に叫ばれているので、今さら説明は必要ないかもしれません。でも畑にまかれる化学肥料の害は、どれだけ知られているでしょうか。

化学肥料には窒素の仲間である硝酸塩 nitrate salt が含まれています。根から吸われた硝酸は、光合成により葉でタンパク質やアミノ酸などに変わりますが、余った硝酸塩は主に葉にたまります。高濃度の硝酸塩は血液中のヘモグロビンが酸素を運ぶのを邪魔します。

つまり、せっかく健康のためにベジタリアンになっても、化学肥料で育てられた野菜ばかり食べていると、貧血を起こすことに・・・。

裏ごししたホウレンソウの離乳食も、オーガニックでなければ不安かも。乳幼児は胃液が少ないので、硝酸塩を分解できずにチアノーゼ状態になってしまい、命に関わることもあります。


Osoyoos Lake in Okanagan

さらに、水によく溶ける硝酸塩は、植物に吸収される前に雨やスプリンクラーで地下にしみこみ、地下水に流れ、井戸水や湖、河川を汚染し、私たちの飲料水にも入り込みます。

硝酸塩は体内のバクテリアにより亜硝酸塩に変化し、さらにアミンという物質と結びついて、発ガン性物質ニトロソアミンになることがわかっていて、胃ガンとの関連性が疑われています。


Coal Harbour in Vancouver

化学肥料や農薬を使わないオーガニック野菜を食卓に選ぶことは、水質汚染を防ぐだけでなく、私たちの健康にも直接関わってくることです。毎日美味しいものを食べて、同時に水も守ることができる、こんな素晴らしい方法を実行しない手はありません。

30ドル使うなら3ドルはオーガニック食品に使い、毎日の食卓の10%だけでも、環境にも健康にもやさしい食べものに変える努力を始めましょう。